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問題5
テロリストはヅラ

 

 

「御用改めである!神妙にしろ誘拐犯がァァァァァァ !! 」
「副長!誘拐犯じゃなくてテロリストです!」

 素早く言った隊士に対し、今にも襲い掛かりそうな十四郎が答えた。

「テロ行為よりも優姫誘拐した事の方が重罪だろうがァァァァァ !! 」
「しっ……真選組だァっ !! 」
「イカン逃げろォ !! 」

 桂達の叫び声を打ち消す位の大声で十四郎は言い放った。

「一人残らず討ち取れェェ !! んで優姫を保護しろォォォォォ !! 」

 ワッっと流れ込んできた隊士達に本能が逃げろと叫んだらしく、慌てて優姫を抱きかかえた銀時は襖を蹴り飛ばして逃げた。
 バタバタと逃げつつ、新八は叫び尋ねた。

「なななななんなんですかあの人ら !? 」

 すると落ちついた表情で桂が返事をしてきた。

「武装警察『真選組』。反乱分子を即時処分する対テロ用特殊部隊だ」

 すっと銀時の隣まで走ってきた桂は当たり前の表情で言ってきた。

「厄介なのに捕まりまったな。どうしますボス?」
「だ―れがボスだ !! お前が一番厄介なんだよ !! 」
「ヅラボスなら私に任せるヨロシ」

 すっと話に割り込んできた銀時はこれ以上ない怒りを感じ叫んだ。

「オメーは黙ってろ !! 」

 そう怒鳴った所であり得ない殺気を感じちらっと後ろを見た銀時は、こちらに一直線で突っ走ってくる十四郎を見て優姫に叫び言った。

「ちょっとォォォ!俺まっしぐらじゃねーか、優姫ちゃん何あの恐い人 !! 」
「土方に―ちゃん」

 にこっと答えると銀時を呼ぶ答えがしたのだった。

「オイ」

 声に反応して振り返るのと同時に素早く飛んでくる刃に、銀時は慌ててしゃがみ躱した。

「逃げるこたァね―だろ。せっかくの喧嘩だ楽しもうや」

 ずぼっと壁に突き刺さった刀を抜きながらそう言った十四郎に、体制を立て直した銀時は優姫の事をしっかりと抱きしめて言う。

「オイオイおめ―ホントに役人か?よく面接通ったな瞳孔が開いてんぞ」

 死んだ魚の様な目をしている銀時に目の事を言われ、十四郎は怒った。

「人の事言えた義理かてめ―!死んだ魚の様な瞳ェしやがって !! 」
「いいんだよ、いざと言う時はキラめくから」

 即答をした銀時に刀を構える十四郎に優姫はにぱっと声をかけてみた。

 

「土方に―ちゃん」

 この状況でへにゃっとしている優姫の姿に、十四郎は怒り爆発させた。

「おめぇはなんでこんな所にいる !? なんでテロリストになってやがるんだァァァァ !! 」
「えっと…………お散歩」

 にぱっと答えた優姫に十四郎は目眩すら感じつつも怒鳴りちらした。

「だから外に出したくなかったんだァァァァァァ !!!! 」
「優姫危ねェですから逃げてくだせェ」
「う?」

 総悟の声を聞き、咄嗟に反応して銀時の腕の中から飛び降りて離れると刹那、激しい爆音と共に銀時と十四郎のいた所が爆発して優姫は驚きの声を上げてしまった。

「うわァァァァァァァァ !? 」

 すると爆煙の中からあり得ないほど髪の毛がもっさりと増えた銀時に優姫は抱き連れていかれた。





「髪増えてない?」

 逃げ込んだ先ですぐに新八に突っ込まれ、神楽に髪の毛をつつかれるのだった。
 外では十四郎達の怒鳴り声が聞こえていて、桂はおもむろに懐からソフトボールくらいの大きさのモノを取り出していた。

「そりゃ何のマネだ?」

 銀時が尋ねると桂は即答した。

「時限爆弾だ。ターミナル爆破の為に用意していたんだが仕方あるまい。コイツを奴等におみまいする……。そのスキに皆逃げろ」

 すると銀時が素早く桂の胸元を掴み、時限爆弾はゴトと床に落ちるのだった。

「貴様ァ桂さんに何をするかァァ !! 」

 攘夷志士の怒鳴り声を無視し、銀時は桂だけを見て言う。

「……桂ァ。もうしまいにしよーや。てめーがどんだけ手ェ汚そうと死んでった仲間は喜ばねーし、時代も変わらねェ。これ以上薄汚れんな」

 桂は自分の着物を掴む銀時の腕を掴んできっぱりと言い返してきた。

「うす汚れたのは貴様だ銀時。時代が変わると共にふわふわと変節しおって。武士たるもの己の信じた一念を貫き通すものだ」
「…………」

 そんな銀時と桂の姿を見た優姫は慌てて二人の元に駆け寄ってしがみついた。

「優姫 !? 」
「……優姫殿?」

 ぎゅっと力強く二人の着物を掴み、優姫は泣き出しそうな表情で言った。

「…………喧嘩しちゃやだ」
「……優姫……」
「喧嘩……やだ」

 潤んだ瞳で訴える優姫に銀時は笑顔で言ってやる。

「喧嘩してねェから大丈夫だ」
「本当?」

 ちらっと桂の方に視線を移し、その純粋な瞳に桂は溜息をついてから頷く。

「ああ、もう喧嘩はしていない」

 パァっと優姫の表情が明るくなった瞬間、先程から転がっている時限爆弾をつついていた神楽が照れくさそうな表情でいきなり言ったのだ。

「銀ちゃん。コレ……いじくってたら…………スイッチ押しちゃったヨ」
「ちょっとォォォォォ !!!! 」

 隠れていた部屋の襖を派手に蹴り飛ばして銀時達は飛び出して言った。

「なっ……何やってんだ止めろォォ !! 」

 止めろ、と言う単語を聞き、銀時はすっと時限爆弾を出して叫び言う。

「止めるならこの爆弾止めてくれェ !! 爆弾処理班とかさ……なんかいるだろオイ !! 」

 銀時が爆弾を持っている事を知った途端、隊士達がバタバタと逃げ出し銀時は必死に追いかける。

「げっ !! 後六秒しかねェ !! 」

 ちらっと見た残り時間に銀時は絶望しか感じられないのだった。

「銀さん!窓窓 !! 」

 新八が指さす方に窓があったのだが後六秒で辿りつける距離では無く、銀時は無理だと叫び返す。すると素早く銀時の背後に現れた神楽が唐傘をぐっとバットの様に構えて言った。

「銀ちゃん歯ァくしばるネ」
「!」
「ほあちゃアアアアアアア !!!! 」
「ぎゃァァァァァァ !!!! 」

 思いっきり銀時の事を唐傘で打ち飛ばし、銀時が窓の外に飛び出た数秒後爆音が響くのだった。

「ぎっ……銀さ―――――ん !! 」
「銀ちゃんさよ~~~~なら~~~ !! 」

 銀時の飛び出した窓まで走っていった新八と神楽がそう叫んでいて、優姫も慌てて後を追いかけて窓際で叫んだ。

「坂田に―ちゃん !! 」

 何処に行ってしまったのだろう、と銀時の姿を探していると向かいのビルの垂れ幕に青ざめた表情でしがみついている銀時の姿を見つけた。

「あ、銀さ――ん !! 」
「生きてたアル―― !! 」

 ぶんぶんと銀時に向かって手を振る二人を見てから、優姫は気が付いた様に呟いた。

 「アレ……ヅラに―ちゃんいなくなっちゃった…………」

 何処にも姿の無い桂が何処に消えてしまったのだろうと優姫は思うのだった。
(2006,6,12/2006,12,1ログ紛失につき修正 飛原櫻)

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