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問題2
煙草よりもチュッパチャップス食べて

 

 

「わ――、すごーい」

 優姫は晋助に案内され、あばら屋の最上階に来て楽しそうに走っていた。
 窓の外を見て優姫はにっこり笑顔で言った。

「空に変なのいっぱい飛んでる」

 空に浮かぶ船を見てそう言い切った優姫に晋助は答えた。

「ここは選ばれた者しか入れねェ部屋だ」
「選ばれた者ー?」

 窓の外を興味津々に見ていた優姫は振り返って、首を傾げる。意味が理解出来ていないのを理解している晋助は、優姫の所まで来て床に膝をついて肩を抱いて言った。

「あれは『天人』つー宇宙から来た悪人達だ」

 空に浮かぶ船や道路を走る車を指さしながら説明を続ける。

「奴等は急に地球にやってきてやりたい放題やってやがる侵略者共で、俺達はあいつらを地球から追い出す活動をやってるんだ」
「あれ悪者なんだね !! それで……えっと?」

 優姫が首を傾げたのを見て晋助はふっと笑って言った。

「俺は晋助。高杉晋助だ」
「私はね、優姫」

 へらっと微笑んで言った優姫の頭を撫でてから、晋助はとある場所を指して言った。

「あそこにいる奴等は地球人の癖に天人に見方付いた裏切り共だ」
「あそこにいる人達地球嫌いになっちゃったの?」
「国の為だなんだ言って天人の言いなりになってる駄目な奴等だ、それで優姫」
「なーに?」

 にこにこと笑顔で見てきた優姫を見て、晋助はにぃっと笑って言うのだった。

「俺達は天人から地球を取り戻す攘夷志士って言う正義の味方だ。あの裏切り共達は真選組って言う」
「うんうん」
「テメェはあそこの真選組の奴等と仲良くなって、奴等の情報を仕入れてきて欲しい。出来るな?」

 ぐりっと頭を撫でて言われ、優姫は笑顔で言った。

「うん、高杉にーちゃん私助けてくれたからお手伝いする !! 」

 手を挙げて元気に言った優姫を見て晋助は言った。

「ただし俺達攘夷志士と関わりある事を言ったら駄目だから分かってるだろうな」
「うん、約束。えっと……ジョジョ?」
「攘夷志士だ」

 お約束の様な優姫のボケを軽く無視し、晋助は言うと優姫にこれからの事を説明した。


 迷子として真選組の者に保護され、行き場が無いから屯所に置いてもらえる様に説得をし、それから真選組の行動などの情報を総て攘夷の方へ回す。


「うん、分かった。ちゃんとやるよ。高杉のにーちゃん」

 にっこりと答えた優姫の頭を撫でてから晋助は言うのだった。

「後そうだな。高杉って言っただけで気付かれるかもしれねェから俺の事は下の名前で呼べ」
「晋助にーちゃん?」
「晋助」

 訂正をされられ、優姫はにこっと微笑んで言った。

「晋助!」

 その瞬間に晋助はちくっと胸の痛みを感じた。

「ほれ、もう行け。暗くなる前に行かなきゃ意味ねーからな」
「うん、行ってきます!」

 ぶんぶんと元気よく手を振ってから優姫は真選組屯所へ向かって走って行くのだった。





「晋助様、急にあの娘を真選組の奴等に送ったりして何かあるっスか?」

 また子が訪ねて来て、晋助は咥えていたチュッパチャップスを出して言った。

「あれだけ警戒心の無い天然馬鹿だ、真選組の奴等もまさか俺達攘夷浪士の回しモンだとは気付けねェだろうよ」

 晋助は思いっきりチュッパチャップスを床に投げ捨て踏みつぶすとはっきりと言い切るのだった。

「使えるモンは使う。それだけだ。あの馬鹿は大いに使い道のある捨て駒だ」


 晋助の本音も知らず、優姫は真選組屯所へ向かって走っているのだった……。
(2006,8,12 飛原櫻)

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