【人魚姫は王子を嫌う】泡一 男嫌い
- kululu0607
- 2022年4月14日
- 読了時間: 2分
ーー王子様と結ばれなかった
ーー人魚姫は泡となり
ーー消えてしまいました
「………………おうじさまなんてだいっきらい」
人魚姫は王子を嫌う
泡一 男嫌い
ーーーー四月。
新しい出会いの季節。
真新しい制服に身を包み、初々しい表情で校門をくぐって行く新入生達。
その中に一人、仏頂面で花奏は立っていた。
見渡す限りの男、男、男。
共学である事は肝に命じていたがここまでとは思わず。
ずっと女子校だけで生きてきた花奏にとっては虫酸が走る光景が広がる。
しかし自分が選んだ道、家族が長らく望み願った事。
腹をくくれと自分に言い聞かせると敷地内へと足を踏み入れ、入学式が行われる体育館へと真っ直ぐに向かった。
◆
「では次……自己紹介を」
名簿に視線を落としながらに言う教師に花奏は無表情のままに立ち上がると口を開いた。
「水原花奏、です。得意科目は特になし、泳ぐ事が好きです。それから……」
花奏は周りを確認してからハッキリと言う。
「私は男が嫌いです。生徒だろうと先生だろうと男は男。連絡事項以外で私に話しかけないで下さい、私も話したくありません」
キッパリと言った言葉に教室の空気が固まる。だがその原因である花奏は何も無かったの様に椅子へ腰を落とした。
◆
時間の流れとは早いモノだ。もう入学してから一週間も経ったのだから。


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